ここでは、相続対策の進め方について学びます。
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目次
1. 相続対策の全体像
相続対策は、親族関係を確認し、財産を分析、問題や課題を見える化、その問題や課題に対し、とれる対策の確認、対策の効果をシミレーション、効果の確認、対策の選択、対策の実行という順序で行います。
相続対策の流れは以下のようになります。
相続対策というとすぐに手段である遺言や生前贈与などを考えたり、相続税を計算したら今の現状が分かったと思ってしまう方がほとんどですが、そうではありません。
最大限の対策をやったらこうなる、そこに想いや背景を加味するとこうなるというゴールを決めてから、そのゴールを達成するための手段が遺言や生前贈与等、一つ一つの手続きになります。
現状をしっかりと分析せずにいきなり対策を考えるというのは、全く順序が逆です。
2. 面談
被相続人と相続人の関係である親族関係、財産の内容、どのような相続にしたいという想いを確認し、相続税の簡易計算や遺産分割、相続税の節税や納税の観点だけでなく、財産の状況を様々な観点から見て、対策をする必要があるのか、どのような対策をしていくのかということを確認していきます。
3. 現状分析
財産全てを相続税の観点、資産形成の観点、収益性の観点から、分析を行います。
下記は、分析の一部の例です。
このように財産を数字で的確に分析を行い、どこに問題や課題があるのかを明確に把握します。
4. 対策案の立案
現状の分析で抽出した問題や課題に対して、問題や課題が解決する為の対策を立案します。
相続税支払い後の純資産を最大化する対策案、相続人と話した結果行う対策案、一族で守ってきた資産を守る対策案など、数字上の最大値と想いの帳尻が合う対策を選択します。
5. 対策のシミレーション
対策案を作成する際には、対策案をやらなかったらどうなるか、対策案ごとにやったらどうなるかという、比較を作ったシミレーションを作成します。
財産の額、相続税の額、相続税支払い後の財産の額を確認し、何をやるかという意思決定行います。
6. 対策案の実行
数字で分析を行い、課題や問題を見える化し、その課題や問題に必要な対策をシミレーションし、効果を確認した上で、やる対策やらない対策を選択し、対策を実行します。
対策を実行する際には、対策に必要な専門家(スペシャリスト)を集め、対策を実行していきます。
よく、相続対策を行う時は、金融機関が税理士を紹介したり、税理士が司法書士を紹介したり、と、自分の業種の専門領域を外れた時に、その専門領域に強いであろう専門家を紹介する場面を散見します。
このことをビジネスマッチングなどと言ったりします。
図で、表すと下記になります。
この状況で起きることが、三つあります。
・ 個々の対策では良さそうに見えているものが、実はその専門家の専門領域やサービスの範囲の中での最適解であって本当の最適解では無かったり、個々の対策では良いけれども、全体の対策で考えると良くないという現象です。
日本の遺言作成では、二次相続を考慮した遺言はほとんどありませんが、これも遺産分割対策では遺言が有効ということと、二次相続を考慮した節税対策が有効という知識がぶつ切りになってしまっているのが原因です。
・ 紹介者に気を遣い、本当は間違っていると分かっている対策でも、間違っていることを間違っていると言えない。
例えば、保険屋に紹介された税理士だったら、本当は必要以上に保険に入っているのに入らなくても良いと言えなかったり、金融機関から紹介された税理士が、金融機関が勧めるアパート建築が良くないと分かっていても良くないと言えないような状況です。
・ 紹介者が、紹介先の提案する対策を正しいか判断する物差しを持っていない為、全体を見れる人がおらず、対策がバラバラになっていきます。
通常の相続対策や手続きではこのようなことが起こります。
ここまででお伝えしたように、相続対策は、まず数字で分析を行い、課題や問題を見える化し、その課題や問題に必要な対策をシミレーションし、効果を確認した上で、対策を選択します。
実行する対策が決まったら、その対策を実行するのに必要な専門家(スペシャリスト)を集め、対策を実行していきます。
図で表すと、下記のようになります。
先ほどと、違うのは顧客と専門家の間に、コンサルが入っています。
コンサルが分析をして、対策に必要な専門家(スペシャリスト)を集めるのと、ビジネスマッチングは全く結果が違います。
決めたゴールに向かって、最短で向かう為のルートを考え、その為に必要な手段をとりますが、その手段の為に必要な専門家(スペシャリスト)を集めるため、前述のような問題もおきません。
スポーツでも個人競技で無ければ、選手が選手を紹介したり、誰が出場するか順番に決めるのではなく、対戦相手を分析したり、ゴールまでのプロセスを監督やコーチが徹底的に分析して、どういう戦略で行くのか、その戦略の為には誰が必要なのかを考えないと試合に勝つことが出来ないのは容易に想像出来ると思います。